【質問回答】難しいけど面白い!万葉集について知っていることを書き出してみた

質問2『日本文学…万葉集のこと聞いてみたいな…(万葉集はそもそも日本文学じゃなかったらすみません) 』

万葉集はいやはや本気で難しいんだよな……
いや万葉集に限らないんだけども、上代(※奈良時代ぐらいのこと)に確立したやつって本気でどうかしてるぜってぐらい難しい……。

現存最古の和歌集、実は全て漢字表記!?

万葉集の辞書的なことを言うと、「現存最古の和歌集」ってところかな。
全部で20巻あって収録歌数は4500首超。例外を除くと約130年間分の時代の和歌を収録。和歌を詠んだ人は天皇・皇族・貴族・官人・防人・遊女・乞食者(ほがいびと)・東国庶民(※当時は首都が奈良だったので、東国はクソど田舎という認識だった)ともうなんかすごい。
この、色んな意味でやばすぎ~!ってなってる万葉集を研究しようと思って自分の専門にしてる教授とか学生とかもうほんとマゾ……げふんげふん、いやあ、好きの力ってすごいな!
え、フォローしきれてないって?そんなまさか。

ちなみに和歌っていうと、当然ひらがなが使われてると思うじゃん??ところがどっこい、万葉集の時代ってひらがなカタカナが流通してないから全部漢字表記なの。わあい。
んでもって、題詞(歌の前に書いてあるやつ)とか、左注(歌の左に書いてある注意書き)とかって、全部漢文なの。すんげえ難しい。4500首超の全部に題詞と左注があるわけじゃないとは思うんだけども、一定数はあると考えるとなんかもう膨大すぎてやばい。

ここでピンときたひとはさすがやでって感じなんだけども、新元号「令和」の出典は和歌本体じゃなくて、この「題詞」ってところからなんだよな。だから、「初めて日本の和歌集から出典キター!」ってのに対して「は??和歌本体じゃないし題詞は漢文だから結局実質漢文(中国)出典だろ??」みたいなのが報じられているわけですわ。
もうこういうのが発生しちゃうほど万葉集って難しい。逆にもう流石すぎる。

今も残っている万葉仮名と、その難しさ

「えっ……ひらがな使わないでどう和歌書くの……?」ってなると思うんですけど、ざっくり言えば当て字にするんですわ。これ実は現代にも残ってます。主に女の子の名前に多いイメージ。

例)真奈=マナ=漢字の音読みを使って読んでいる=「音仮名」
例)海名=みな=漢字の訓読みを使って読んでいる=「訓仮名」

こんな感じで、ひらがなカタカナを使わないコレを「万葉仮名」っていいますちなみに当てる漢字は読むのに使うだけだったとはいえ、良い意味だったり好ましい漢字にしたがるのは、今も昔も同じだったみたい。

コレのなにが難しいって、和歌になってる漢字が全部当て字じゃないんすよ。漢字本来の意味とか使い方とかも当然混ざってくる。
全部当天字謝無印数代。これ「全部当て字じゃないんすよ」って万葉仮名テイストで書きました。
もうひらがなカタカナに慣れていると、万葉仮名難しいったらありゃしない。ひらがなとカタカナの偉大さに打ち震える。

難易度カンストなぞなぞ「戯訓」

更にまだ絶望的なお知らせがあるんですけども、万葉仮名って音仮名と訓仮名の2種類だけじゃなくて、もうひとつ「戯訓」ってのがあるこれが超絶厄介すぎて難易度カンストしてる。

有名なのがコレかな。「山上復有山」、なんて読むと思います?「出て(いで)」って読むんすよ。
「『山』という字の上に、また『山』という字があるよ」って言ってるんだけども、ほら『山』の上に『山』をドッキングしてみてくださいよ。なんと『出』になるじゃないっすか!わー!すげー!!

これが普通の漢字と万葉仮名と一緒に当然のような顔をして出てくる
読めるかこんなの!!!絶対「あー、なんか山が出てくる歌かなー」って思うじゃん!突然なぞなぞ大会始まったよ!返せよ音訓仮名だと思って解読しようと調べたこの時間を!!!こちとら小っちゃい頃から「パンはパンでも食べられないパンはなーんだ?」で詰んでたレベルなんだぞすんなり解けるわけねえだろちくしょう!!!だが悔しいほどに面白い。

万葉集は難しいだけに面白い和歌集です

さいごに、輪をかけてずるいなあと思うのが、『万葉集』そのものの書名の意
前提として、「葉」には「代」「歌」の意味があるということを踏まえつつ。

万葉集。
その意は、文字や実際の中身から連想されるように、「よろずの世(=葉)代の」「よろずの言の葉を」集めた書、という意味であるという説。
そしてもう一つ。「万代まで伝わるように」の意を込めたという説。

くやしいなあと思うのは、古典だから。どんな思いを込めて『万葉集』と名付けたのかは、時代の彼方に過ぎ去ってしまって、新たな写本の発掘という奇跡が起こらない限り到底知り得ない。
しかし、よろずの時代を超えて、「古典」と呼ばれるに至るまで確かに伝わっている。そうしていま、新たな時代の名の由来となっている。

難しいだけに、面白い和歌集です
千と何百年も前に生きた人たちの暮らしぶりや感動や物語が、四千五百以上も遺っています。現存最古の和歌集という文学的観点のみならず、当時の時代考証における非常に貴重で重要な歴史的研究資料として、大切な書だと思います
特に戯訓のなぞかけは、当時のひとたちに「さあ、読めるものなら読んでみろ」と、得意顔で挑まれている気分にもなります。昔のひとたちに遊んでいただく、いい機会だと思います。

ご興味があれば、是非インターネットや書籍等で調べてみてください。

 

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