【質問回答】随筆とエッセイと散文の違いについて調べてみた

質問1「随筆とエッセイと散文って何が違うのか聞いてみたいです!」

この3つをぱっと見て最初に思ったのが「散文だけ性質がちがうかなあ。たぶん!」という、ものすごくざっくりした感想でした。ポイントは「たぶん!」ってところです。下手に平安文学ばっかし面白がってたもんだから、意外とジャンルといった形式には疎いのですよ。えへへ。

この質問にお答えするにあたって、念の為日本国語大辞典と広辞苑と明鏡国語辞典を引いてみたんだけども、そのまんま書き写すのも「いとすさまじだわ~」ってなっちゃうので、難しいところだよな。

随筆とエッセイはほぼ同じ

前提をものすごくざっくりまとめると、「随筆=エッセイ」になるってとこで、随筆の意味そのものは辞典で調べりゃ幾らでも出てくるのでここでは割愛するけども、「随筆」ってことばがエッセイの訳語に当てられたイメージがでっかいみたい。

ちなみに、エッセイは日本でいうところの随筆以外にも小論文とか時評とか、そういうのもひっくるめて「エッセイ」と呼ぶので、この点を踏まえてより正確にいうと「随筆はエッセイに含まれるけども、エッセイは随筆よりも幅が広い」ってところかね。なんかそういう時に使う便利な数学記号があった気がする。なんかUの字を横にばたんって倒したみたいなやつ。

ちなみに、日本国語大辞典にしか記述がなくておもしれえなと思ったんだけども「日本のもの(=随筆)はより断片的である」ってあったのね。簡潔に言うと、欧米(注:エッセイはイギリス語およびフランス語)の随筆はもっとまとまってるらしいっす。
これ割と面白い思考のクセだなって思うんだけども、欧米って少なくとも文学では「テーマ(主題)」を大切にするんだわ。えっそれ当たり前じゃね??って思ったひとは、ある意味間違ってない。だって、こんだけ欧米化が進んだ日本だぞ。こういった国語科教育部分にだって欧米化が進んでてもなんにもおかしくない。

実はテーマを気にしない日本文学(特に古典)

一方の、特に古典文学と呼ばれるものって欧米の影響なんざ受けてないもんだから、実はテーマなんて気にしていない
よく「『源氏物語』のテーマが~」「世界観について論文を書こうと思うんですけど~」とか言おうとすると、「それは欧米の思想ですね」ってどの教授にもばっさり言われる。テーマとか世界観って、日本ではほんとここ最近の考え方らしいんすね。
だから、逆に卒業論文とかが書きにくくなる。教授がばさっと言ってくれるのは、ちゃんと気にしてくれる証拠だなって思うから、学生と文学に対する愛を感じられてまじで尊い。

だから日本の三大随筆と呼ばれる『枕草子』も、言われてみりゃテーマなんぞまったく気にしていないことがわかる。「これまじ雅~!てらかわゆす~!」って言ってる文章もあれば、「今日ご主人さまの周りでこんなことありましたわ」とか、もう雑多。そら断片的だと言われるわけですわ。日本国語大辞典の編纂者まじGJ。気づきをありがとう。

だから、「テーマが無いから駄目」「まとまってないからクソ」とか言ってくる奴は、華麗にスルーしときゃいいと思うんですよ。テーマを設定するとか世界観にまとまりを持たせることそれ自体は、文章表現の一種だからこっちが口を出す必要はない。
でも、自分がなにかを「書きたい!」って思った時に、上記のような台詞を正論として振りかざすばかりか、攻撃や否定の手段として使ってくるような輩には、ご丁寧に耳を傾けなくてもいいと思う。

日本古来の、断片的に思いを筆に任せて綴るも、「これだ!」って主題を提示して論じるのも、どっちも大事な表現だから。そんな些末な理由で、「書く」ということから遠ざかってほしくないなあと思いつつ。
だから、高校では教科ごと「現代文」と「古文」に分かれるんだなって思う。欧米から学んだ文脈と、日本古来の文脈を学ぶために。

散文&まとめ

さいごに、おまけみたいになっちゃったけども、散文についてさっくり説明をしておくと、和歌とか俳句とか詩とか、字数や韻とかに制限がある「韻文」以外の文章なので、まあ要するに上記以外の文章が散文です。小説も漫画の吹き出しのコマ内の文章も、新聞記事もブログ記事も論文も随筆もエッセイも、ぜんぶ散文。
随筆とエッセイが「ジャンル」であるのに対して、散文は「形式」と理解するのがいちばん簡単かなあと思います。ご参考までに。

 

随筆
特定の形式を持たず、見分、経験、感想などを筆にまかせて書きしるした文章。
西洋では小論文、自評なども含めてエッセーと呼ばれるが、日本のものはより断片的である。
エッセーの訳語。

エッセー フランス語essai・イギリス語essay
特定の形式を持たず、見分、経験、感想などを筆にまかせて書きしるした文章。随筆。

散文
押韻や一句の字数の決まりの文章。詩、和歌、俳句など、韻律に規制されたり字数に制限があったりする韻文に対して、通常の文章をいう。
(※広辞苑より→「散」は制限の無い意。)

小学館『精選版 日本国語大辞典』(2006年)より抜粋

 

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